法実務の入門書:『法律の使い方』

法律の使い方

法律の使い方

 本書は、法実務家を目指す人のための、「道具としての法律」の使い方を説く本。


 では、法実務家とはどんな人か。

 実は、大学教授は、「法学」のプロではあっても、「法律を使った事件解決」のプロではない。彼らの仕事は、法実務家が現在使っている法理論の再検討を行うことで、法理論のレベルアップを図ることだ。

 一方、「法律を使った事件解決」のプロ、弁護士、検察官、裁判官の法曹三者をはじめとして、司法書士行政書士弁理士等の有資格者から、公務員、企業法務部まで、法律を道具として使う職業はみな実務家と呼ぶことが出来る。

 法学部生や法科大学院生のみならず、法実務家を志す全ての人にとって――それはイコール、法律を学ぶ殆ど全ての人にとって――本書は優れた入門書である。


 以下、気になった部分のピックアップ。

  • 法律家に必要なのは、常識的な判断力と、法的な理論構成をする能力。
  • 法律とは、もめ事を解決するための道具。
  • 法実務家にコミュニケーション能力は欠かせない。「いい弁護士は、いい文章を書く人」

 また、第3章の法律構成の実践例と、第4章の法律構成を実際に使った練習問題は、法学をすでにある程度学んでいる人にとっても、得るところはあるのではないか。